最近の記事で次世代半導体には窒化ガリウム(GaN)とSiC(炭化ケイ素)があると紹介した。半導体を調べていくうちに第3の次世代半導体があった。それが「酸化ガリウム」である「酸化」である「窒化」ではない。6月位に新聞に「タムラ製作所が出資するNCT社が酸化ガリウムの100ミリウエハーの量産に世界で初めて成功した」と言う記事が載った。私はてっきり窒化ガリウムだと思ってその記事は私の頭の中に残らなかった。 窒化ガリウム(GaN )はもう生産品もあるし100ミリウエハー出来た位で騒ぐことなしと思った。しかし名前は似ていても物質は全然違って 「酸化ガリウム」だった。 今、タムラ製作所のチャート見てみると、その発表があった6月に上がっている。

調べていくとこの「酸化ガリウム」はかなり優秀な次世代部材だと分かった。
① 窒化ガリウム(GaN)とSiC(炭化ケイ素) と比べて低損失のパワーディバイス(半導体など)を作れる。 理論的には窒化ガリウム(GaN )と比べて3分の1 、SiC(炭化ケイ素) と比べて6分の1損失を低減できる。
②製造コストを大幅に下げられる可能性がある。(製造方法が既存のシリコンウエハーの製造方法と似ているため)
この2点が 「酸化ガリウム」 の利点である。
窒化ガリウム(GaN)とSiC(炭化ケイ素) は製造コストが高い
現在の半導体であるシリコンは平方cm(100平方mm)当たりの基板コストは100円に満たない。しかし SiC(炭化ケイ素) は1500円、 窒化ガリウム(GaN) は4万円である。これだけ生産コストの違いがあると特別な部材以外は 窒化ガリウム(GaN)やSiC(炭化ケイ素) は使えない。ただSiC(炭化ケイ素)と窒化ガリウム(GaN) は棲み分けが出来ているみたいで用途はある。
酸化ガリウムは既存のシリコンと製造方法が似ていて、 炭化ケイ素 (SiC)や 窒化ガリウム (GaN)の100倍高速に成長することができ、価格を大幅に引き下げられる可能性がある事が分かった。
シリコンや酸化ガリウムは融液から簡単にバルク単結晶を成長させて造る。炭化ケイ素 (SiC) と窒化ガリウム (GaN)も融液から作るが 、その融液を得ることがきわめて難しい。 炭化ケイ素 (SiC) と窒化ガリウム (GaN) は融液を作るために特殊な機械を使って手間をかけて造るのだ。
それに対して 酸化ガリウム は100ミリウエハーに対応した既存の設備を活用でき、設備投資を抑えられるメリットもあるのだ。
ただ無欠損と言っていいくらいの現在のシリコンの品質と比べると酸化ガリウムは 品質 はまだ低い。このあたりを克服出来ると面白い存在になる。四季報でタムラ製作所を見てみると。

【高収益品】酸化ガリウム実用化へ開発着実。大容量エネルギー変換扱うパワー半導体用電源モジュール需要拡大で成長期す。 と書いてある。
そして大株主に昨日記事で紹介したノルウェー政府もいる。
「酸化ガリウム」は間違いない技術なのだろう。
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